GWも明け映画館も閑散期を迎えるかと思われたのも束の間、5月13日より今年の実写邦画作品No.1候補との呼び声も高い「シン・ウルトラマン」が公開となります!

「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を大ヒットに導いた庵野秀明が送る特撮最新作と言うことで、ファンからは期待の声も多い本作。果たして、どれほどのヒットを記録するのでしょうか。
そこで、今回こちらの記事では「シン・ウルトラマン」のポテンシャルを考察しながら興行収入の予想をしていきます!
同時に作品情報や興行収入の速報値もお届けします!(※速報値のみご覧になりたい方は目次よりスキップ推奨です!)
今作の興行収入はTwitterでも毎日更新を予定していますので、そちらも合わせてチェックしてみて下さい!
作品情報:原点に立ち返りながらも新たなヒーロー像を描く
1966年からテレビ放送が開始され、55年以上経った今もなお続いている「ウルトラマン」シリーズ。今作は「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を大ヒットに導いた庵野秀明が企画、脚本、製作、編集を手がけ、同じく「シン・ゴジラ」などでタッグを組んだ樋口真嗣が監督を担当しています。

そして、今作は1966年のシリーズ1作目「ウルトラマン」の原点に立ち返りながらも、「シン・ゴジラ」同様に現代社会の背景に落としこんだ全く新しいエンターテイメント作品となっています。
主演は「シン・ゴジラ」にも出演した斎藤工が務め、長澤まさみ、西島秀俊、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、早見あかりなど豪華個性派俳優陣が出演。さらに庵野秀明監督は「シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバース」として2023年3月には「シン・仮面ライダー」の公開も予定されており、今後の特撮界を担う大きな存在として活躍が期待されています。
そもそも「シン・ジャパン・ヒーロー・ユニバース」とは?
「シン・ゴジラ」を皮切りに「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」と庵野秀明が参加する4作品が、東宝、カラー、円谷プロダクション、東映の4社の垣根を越えて夢のコラボレーションを果たすことが2022年の2月に発表されました。
『#シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』始動!
— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) February 14, 2022
『#シン・ゴジラ』『#シン・エヴァンゲリオン劇場版』『#シン・ウルトラマン』『#シン・仮面ライダー』
日本を代表する4作品がコラボレーションする夢のプロジェクト!
今後の展開にご期待ください。
公式サイト https://t.co/0DXUJvZ3Oc#sjhu pic.twitter.com/mgv0RPJEeN
ただ、今現在では発表されているのはイベントや商品化が計画されているとの情報のみ。ファンの間では作品自体がコラボレーションすることに期待する声もありますが、現段階ではまだクロスオーバー関連の情報はありません。
ただ、「シン・ゴジラ」は首都東京を中心に政府とゴジラの攻防が描かれていたのに対し、今作「シン・ウルトラマン」は群馬や千葉でロケを行ったとの情報もあります。つまり、東京駅は写さずにゴジラの可能性を残している…のかもしれないですね(※完全に憶測です)

確かに「シン・ゴジラ」では「エヴァ」のヤシマ作戦BGMが使われていたしマーベル映画みたいにクロスオーバーするのかな?
円谷プロは100億円も視野に?期待集まる興行収入を徹底予測
作品の概要を説明したところで、早速本題に入って行きましょう。
まず今年の実写邦画作品No.1が期待されるということで、今年の1位はどれくらいのラインになるかを見てみましょう。暫定1位は「余命10年(現在も公開中)」の29.3億円が現時点で最高となっていますが、もう一つの実写邦画No.1の大本命作品として「キングダム2 遥かなる大地へ」が挙げられます。
こちらは前作「キングダム」の興収が57.3億円をあげ、漫画実写化作品としては歴代7位と驚異的なヒットを記録しました。そのため今作も50億円越えレベルの興収が期待できます。
つまり今年の実写邦画No.1のためには、まず50億円以上の興行収入を記録できるか、が焦点になります。

そんな中「シン・ゴジラ(82.5億円)」「シン・エヴァンゲリオン劇場版(102.8億円)」と特大ヒットを次々と生み出した庵野秀明監督の作品ということで、ファンだけでなく製作会社からもかなりの期待が集まっている「シン・ウルトラマン」。
なんと配給の東宝は「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版(6月17日)」公開までの1ヶ月間、300館規模の公開作品がありません。昨年のこの時期は毎週のように大規模作品を公開していたことを踏まえると今年は「シン・ウルトラマン」に賭けている姿勢が伺えます。
また、円谷フィールズホールディングスの2020年に行われた決算説明会の質疑応答を参照すると、
Q8:『シン・ウルトラマン』はどの程度の興行収入を達成できればグループにとって大きな利益となるのか、大まかな見通しをお聞きしたい。
2021年3月期 第2四半期決算説明会 主な質疑応答(要旨)より
A8:『シン・ウルトラマン』の制作に関わる庵野秀明⽒、樋⼝真嗣⽒は、過去に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズや『シン・ゴジラ』等を⼿掛けている。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は現在までに序、破、Qの3部作が上映され、それぞれ20億円、40億円、53億円と回を追うごとに興収を伸ばした実績がある。2016年公開の『シン・ゴジラ』では、80億円を超える興収を記録した。これら実績に鑑みれば『シン・ウルトラマン』も同程度~100億円クラスの興収を⽬指せる⽔準にあるとみており、そうなれば当社グループにとっても大きな利益貢献が期待できる。
と回答しています。この回答があったのは「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開前ですが、円谷プロダクションとしては80億〜100億円クラスの興収を見込んでいることがわかります。
ただし、私個人の見解だとややこの目標設定は高過ぎるようにも見えるのです。
これには大きく理由が2つあって、
理由②:主に未就学児を含むファミリー層やシニア層が完全に劇場に戻っていないこと。
が挙げられます。ここからは、それぞれの理由をもう少し深く掘り下げてみましょう。
2つの懸念点
今まで10億円越え作品がない「ウルトラマン」シリーズ
他の「シン〜」シリーズの過去作品を見てみると、「ゴジラ」シリーズは1984年以降13作品が製作されていますが、いずれも10億円を割った作品はありません。さらに「シン・ゴジラ」以前の直近ゴジラ作品としては、2014年に公開された「GODZILLA ゴジラ(ハリウッド版)」は32.0億円のヒットを記録していました。
「エヴァンゲリオン」も旧作の「シト新生(18.7億円)」「Air/まごころを、君に(24.7億円)」は大ヒットを記録しており、新劇場版に関しても「序(20.0億円)」→「破(40億円)」→「Q(53.0億円)」と「シン・エヴァンゲリオン劇場版」以前も大ヒットを記録していました。
その一方で、「ウルトラマン」シリーズは過去に10億円を越えた作品はなく、最高興収は2008年に公開された「大決戦!超ウルトラ8兄弟」の8億3800万円。直近の劇場のみ公開作品を見ると2020年公開の「劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」の最終興収は、そもそも公開範囲が小さいこともありますが1億5000万円にも満たない数字となっています。
確かに知名度だけで言えば他の「シン〜」シリーズとさほど差は無さそうですが、ファンの母数はやや少ないようにも感じます。
現在の「ウルトラマン」シリーズは子供向けだから仕方ない、という考え方もあるかもしれませんが、そう仮定した場合「シン・ゴジラ」のような大人向けの難しい作風は余計に子供ファンの多い「ウルトラマン」とややミスマッチなようにも感じるのです。
また、「ウルトラマン」シリーズは男性向けコンテンツである側面も大きいと思います。
「アニメ!アニメ!」の「一番好きなウルトラマンは?」というアンケートでの男女比は男性が85%、女性が15%と圧倒的に男性率が高くなっています。
ただし、これに関しては「シン・ゴジラ」も同じで初週の動員の男女比は『男83:女17』と男性率がかなり高めでした。しかし、公開から日が経つごとに女性率が増加。そして公開1ヶ月後には女性限定の鑑賞イベントが開かれるまでに。この上映イベントでは長谷川博己演じる矢口蘭堂、松尾諭演じる泉修一など、人気男性キャラの手作り応援うちわを持つファンも見受けられたようです。

つまり、今作もストーリーはもちろん、斎藤工演じる神永新二、西島秀俊演じる田村君男、有岡大貴演じる滝明久など男性キャラの魅力が女性ファン集客のカギとなりそうです。
その他作品から見えるファミリー層の映画館との距離感
やはり原作は子供向けの特撮作品ということで、ファミリー層を多く取り込みたい今作。
ただし、コロナ禍後は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や「劇場版 呪術廻戦 0」など中高生を中心に多く動員数を獲得したアニメ作品もある一方で、ファミリー客層が中心の「映画ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021」の興収は過去10作品の中でも最も低い数字となってしまっています。
特撮作品では昨年12月公開の「仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ」も仮面ライダー50周年記念作品ながら3.4億円と大ブレーキ。コロナ禍以前は10億円前後が平均だったので、なんと3分の1ほどの水準に下がってしまっていることがわかります。さらには、玩具の売上はコロナ禍以前とあまり変わっていないことも踏まえると、ファミリー層の映画離れが加速していると言えそうです。
また、今作の原点でもある「ウルトラマン」は55年前の作品。そのため60〜70代が当時のリアルタイム視聴者に当たるわけですが、そのシニア層もコロナ禍以前と比べ客足が大きく減少しています。以前他の記事でも扱ったのですが、8割以上のシニア世代が映画館目的の外出を控えているというデータもあります。
つまり今作のターゲットにしたい世代が映画館に来ないという厳しい環境となっているのです。
以上の理由からポテンシャルは今までの「シン〜」シリーズに比べやや低いように感じています。そのため80億〜100億円という目標設定は高過ぎる気がするのです。とは言っても、50億円を越え今年の実写邦画No.1になるレベルのポテンシャルは秘めているように感じています。ここからはヒットが期待できるポジティブな面に注目していきましょう。
3つのヒット期待点
①庵野秀明監督の圧倒的な話題性
まず、庵野秀明の関連作品と言うだけで話題性は十二分にあります。実際に先日4月15日に特報が解禁された際はツイートに7万以上のいいねが付き、さらに「メフィラス」「ザラブ星人」「ウルトラマン」などのワードがTwitterトレンドランキング上位にランクイン。
【映画『#シンウルトラマン』新映像解禁】
— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) April 15, 2022
飛び立つ #ウルトラマン
巨大不明生物「#禍威獣(カイジュウ)」
動き出す政府と #禍特対(カトクタイ)
目的不明の“外星人(ガイセイジン)”#米津玄師 書き下ろし
主題歌「#M八七」にのせ映し出される
最新映像をご覧ください!#5月13日公開 pic.twitter.com/GbpZ7HBvjd
4月18日にYoutubeに公開された予告編も1ヶ月満たない内に290万回再生を記録しており、100万回再生までのスピードは「シン・ゴジラ」を凌いでいます。
②庵野監督はゴジラよりウルトラマンが好きだった?
過去に「帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令」という自主映画で総監督と主演を務めるほど、ウルトラマンの大ファンだった庵野秀明。樋口監督も文春オンラインのインタビューで「シン・ウルトラマン」制作の経緯についてこう語っていました。
庵野(秀明)が企画して、円谷プロさんに加え、『シン・ゴジラ』からの流れで東宝さんとやる形になりました。でも、庵野はゴジラよりウルトラマンのほうが好きだったはずで。昔、自主映画を作るだけでなく、自分で演じてたりするくらいだから、少なくとも我々のまわりで一番ウルトラマンを愛してるのは、庵野だろうと。
文春オンライン『「俺が監督をやっちゃっていいの?」庵野秀明と再びタッグ 樋口真嗣監督が語る『シン・ウルトラマン』制作秘話』より抜粋
ウルトラマンにカラータイマーがないのも、初期デザインを担当した成田亨氏のコンセプトを尊重したもので、他にも背びれや目の中の点など成田氏の望まなかったデザインはなるべく排除し、庵野監督はウルトラマンの本来の美しさを追求しています。これもウルトラマンに対する強い思い入れから来たものなのかもしれません。

「シン・ゴジラ」でも特撮の新たな切り口を見せた庵野秀明監督ですが、より思い入れの強い「シン・ウルトラマン」でどのような世界観を見せてくれるのか注目ですね。特に特撮系作品はSNSに強いファンも多く、作品の出来次第では口コミでの拡散にも期待ができそうです。
③関連商品の売上は増加傾向に
バンダイナムコホールディングスのIP別売上高を見ると「ウルトラマン」は2021年の86億円から170億円と約2倍の売上を伸ばす見込みと発表されました。

2016年からの推移を見るとその伸びは顕著になっており、「33→43→60→69→93→86→170」と右肩上がりとなっており、今年で急激に売上を伸ばす見込みとなっています。
この勢いに乗って「シン・ウルトラマン」の飛躍的なヒットにも期待したいところです。
まとめ(情報整理)
様々な要因を説明してきましたが、ここで情報を一旦整理しようと思います。
まず…
東宝は大規模公開作はこれから1ヶ月ナシ
円谷プロの目標は80〜100億円辺り
⇩しかし…
【2つの懸念点】
理由①:ファンの基盤が「ゴジラ」「エヴァ」に比べやや弱い(女性ファン獲得が逆転のカギに?)
理由②:ターゲットであるファミリー層やシニア層の客足が戻っていない
⇩
80〜100億円はやや厳しめ?
ただし…
①話題性は圧倒的
②庵野秀明の思い入れが強い脚本のクオリティにも期待
③シリーズの売上は年々右肩上がり傾向
↓
2022年実写邦画No.1の可能性高!
これらの点を踏まえて初動成績と最終成績を予測していきます!
興行収入予測
※あくまで独断と偏見での予想になりますので、実際の値と大きく異なる可能性が高いです。ご了承ください。
初動成績
箱数:「シン・ウルトラマン」だけでなく「バブル」「流浪の月」など他にも大規模公開作が控えており、箱数はやや取り合いになってしまう面もあり。
客単価:IMAXでの同時上映もあるため、客単価は1500円程度になると予想。
客層:「シン・ゴジラ」のデータを基にすると、初週は男性率が高く幅広い世代を動員すると予想。(考察の通りファミリー層、シニア層は少なめと予想)熱狂的な庵野ファン効果で爆発的なスタートを切る可能性もあり。
これらを総合的に判断して、初動3日間成績は11億円〜12億円ほどになると予想します。
最終成績
「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」同様口コミなどでロングランヒットとなれば、おそらく夏休みシーズンまでの上映が期待できます。
最終成績は作品の出来にもよると思いますが、試写会の感想は好意的なものも多く、ここは期待も込めてロングランヒットになると予想します。
まずは60億円が現在の目途と言ったところでしょうか。
しかし、特典配布や4D上映などの追加要素で上振れする可能性も十分にありそうです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
興行収入速報
38億6000万円(※6月20日現在)
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興行収入推移
公開日数 | 興行収入 |
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3日目 | 9億9341万円 |
10日目 | 20億3468万円 |
17日目 | 27億1175万円 |
24日目 | 31億8233万円 |
31日目 | 35億6328万円 |
38日目 | 38億3971万円 |
Coming soon…
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