5日で500億円「マリオ」映画の超大ヒットが歴史的快挙過ぎる3つの理由

© 2022 Nintendo and Universal Studios

任天堂のゲームに登場するキャラクターとして約37年半看板を背負ってきた“スーパーマリオ”。
そのスーパーマリオが「ミニオンズ」などで知られるイルミネーション制作でハリウッドアニメ化された作品が『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』だ。
日本の公開はGW興行を見据え4月28日に設定されているが、先週から全米を始めとした60以上の国と地域で既に公開が始まった。

北米では公開5日間のオープニング成績2億500万ドル(約270億円)で首位デビューを飾り、全世界興収は3億7750万ドル(約500億円)に到達する異常な成績を叩き出している。

最終成績は12億ドル(約1580億円)を越えるとの予測も出ている今作は、映画界におけるアニメ映画の流れを大きく変えたと言っても過言ではないだろう。
ただ、この数字だけではイマイチピンと来ない方も多いかもしれない。そこでこの記事ではこの数字がいかに異常な数字か、このヒットがどれだけ凄いのかわかりやすく3つのポイントに分けて解説する。

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No.1づくしの大ヒットスタート!

まずは、早速だが今作の凄さを物語る大記録の数々をざっと挙げてみる。

【「スーパーマリオ」が打ち立てた記録】
・全世界OP成績アニメ映画歴代No.1
・コロナ禍後の全米OP興収アニメ映画歴代No.1
・水曜日公開作品の5日間OP成績歴代No.1
・11の国と地域で初日成績アニメ映画歴代No.1
・2023年公開映画全米OP成績暫定No.1
・公開6日で2023年公開映画累計興収暫定No.1
・イルミネーション作品OP成績歴代No.1
・ユニバーサル配給アニメ作品全米OP成績歴代No.1
・ビデオゲーム原作作品OP成績歴代No.1
・IMAXの全米OP成績アニメ映画歴代No.1

このように今作はアニメ映画として数多くの記録を塗り替えたことがわかる。コロナ禍に入ってからはファミリー層向けの映画は苦戦が続いていたため、この数字は誰も予想しえない異次元な成績と言えるだろう。

ここからは、数多くの大記録の中から特に注目すべきポイントをいくつかピックアップして紹介していく。

全世界OP成績アニメ映画歴代No.1

まず、多くの記事でも多く取り上げられているのがアニメーション作品歴代No.1のオープニング成績というニュース。

© 2022 Nintendo and Universal Studios

全世界オープニング興収が3億7550万ドルということで、『アナと雪の女王2』の3億5850万ドルを上回り歴代No.1の成績となっている。
3億7550万ドルは日本円に換算すると約500億円だが、日本の映画界を席巻した『映画「鬼滅の刃」無限列車編』の興行成績が404.3億円であることを考えるとその数字の大きさがわかるだろう。今作はその記録をたった5日間で抜き去っている。

もちろん全米でも今年公開された作品の中では大人気のマーベル作品『アントマン&ワスプ クアントマニア』をも上回るNo.1の数字で、このまま年間1位の興収に輝くのではという声もあるほどだ。

水曜日公開作品の5日間OP成績歴代No.1

そしてあまり注目されてはいないが、水曜日公開作品として水曜から週末までの5日間のオープニング成績が歴代No.1というのも目を引く記録ではある。

というのも、水曜日の成績だけを見ると水曜日に公開された作品として歴代9番目とあまり上位ではないからだ。つまり、他の作品に比べて木曜日から週末までの勢いが特段に高いのだ。

例えば、歴代2位の『トランスフォーマー リベンジ』は初日興収6201万ドルを記録しているものの、初日に観客が集中する形で週末にかけて勢いは尻すぼみとなった。それに対し『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は初日興収こそ3170万ドルだが、週末にかけて勢いが増加。最終的に5日間のオープニング成績は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に軍配が上がった。

作品名初日興収(水曜)木曜~日曜の興収5日間合計の興収
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』3170万ドル1億7293万ドル2億463万ドル
『トランスフォーマー リベンジ』6201万ドル1億3806万ドル2億7万ドル

この5日間の持続力からはロングランで息の長い興行になる可能性が感じられる。



ユニバーサル配給アニメ作品全米OP成績歴代No.1

そしてユニバーサル配給のアニメーション作品が全世界オープニング成績で歴代No.1に立つのも史上初の快挙となる。(正確なデータのある2001年以降のものが対象)

今までの歴史を簡単に振り返ると、2001年に公開されたディズニー配給のピクサー作品『モンスターズインク』が全世界歴代オープニング記録を更新。

しかし、2007年にFOX配給(現ディズニーの傘下)『ザ・シンプソンズMOVIE』が首位の座を奪取。その後2009年も同じくFOX配給の『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』が中国でヒットを収め過去最高を更新。

その後2018年に『インクレディブルファミリー』が約10年ぶりに歴代記録を更新し、その後短い期間で『ライオン・キング(実写)』『トイ・ストーリー4』『アナと雪の女王2』とディズニーがその歴代記録を自ら塗り替えてきた。

そして今回3年半ぶりにアニメーション映画の歴代記録が『ザ・スーパーマリオ・ブラザーズ』によって塗り替えられたことになる。

コロナ禍前まではディズニーの一強時代が続いたが、コロナ禍はディズニープラスと劇場上映のバランスが上手く保てず『バズ・ライトイヤー』『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』と赤字が続いている。

そんな中、昨年公開された『ミニオンズ・フィーバー』から『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と立て続けに成功を収めているアニメ制作会社のイルミネーションは、今後アニメ映画界の舵を切っていく存在となるかもしれない。



日本のIP作品としての圧倒的存在感

日本は世界的な人気を誇るIPキャラクターを多く有しており、ハリウッド展開も多くなされてきた。

『ドラゴンボール』『DEATH NOTE』など大不評で失敗に終わった作品もあるが、『名探偵ピカチュウ』『ソニック・ザ・ムービー』『GODZILLA ゴジラ』などは年間トップとは行かないまでも年間10〜20位代の中堅ヒットを記録してきた。

C) 1993 Allied Filmmakers N.V. (C) 1993 Nintendo

マリオは一度1993年に『スーパーマリオ/魔界帝国の女神』というタイトルでハリウッド実写化されおり、世界観があまりにもゲームと乖離していたことから今でも「ネタ映画」として扱われる機会は多々あるが、今作は予告編だけでもゲームへのリスペクトを感じる作品となっている。

米人気批評サイトRotten tomatoesでも観客支持率は驚異の96%で、原作に対するリスペクトを評価する声が多かった。

そして、今作の観客データで注目すべきポイントはファミリー向けの作品ながら18歳〜34歳のミドル層が全観客の6割を占めており、幅広い世代への訴求に成功していることだ。他の例を示すと同じくイルミネーション制作の『ミニオンズ・フィーバー』は17歳以下が全観客の約5割を占めており子供層に偏っている。

35年以上の長い歴史を持つからこそ幅広い層に支持される今作は年間トップ級のヒットがほぼ確実となっており、続編なども制作されれば日本IPのキャラクターが登場する作品として圧倒的な存在感を放つことになるだろう。

今作は日本のキャラクターが世界中で愛されていることを改めて証明してくれましたね!

ハリウッド業界でもこの存在感…!本当に誇らしいです…!!

また、今回の成功で任天堂ブランドへの信頼度も上っていることは確実で、今後任天堂の他タイトル「ゼルダの伝説」「星のカービィ」などがハリウッド化される可能性も十分にあると考えられる。



専門家すらも想定外の大ヒット

映画界を揺るがす大ヒットとなった今作だが、ここまでの特大ヒットは元々約束されていたものと言うわけではない。

というのも、3月中旬の段階でのオープニング成績の予測は5日間で8500万ドル〜9000万ドルと言うものだった。これでも十分近年の作品としては大ヒットの部類だが、蓋を開けてみると実際の成績はその予測を2倍以上も上回る2億500万ドルの特大ヒットに。

© 2022 Nintendo and Universal Studios

やはり過去の実写版が赤字だったことや、予告編の再生回数も『アナと雪の女王2』と比較すると5倍ほど差をつけられていることからも、ここまでの盛り上がりを予測するのは難しかったのかもしれない。

しかし、海外のアナリストによる予測は正確性が高くここまで数字が異なることは中々ない。そう言った意味でもこの成績は大方の予想を良い意味で裏切るヒットになったと言えるだろう。
その予想外の結果を受けてか、海外のソーシャルメディアなどでも大きく話題となっている。



最後に:日本にも特大ヒットの波は来るのか?

全世界で大記録を打ち立てている『ザ・マリオブラザーズ・ムービー』。その凄さを3つのポイントに分けて解説してきたが、皆さんにはわかって頂けただろうか。

さて、日本の公開日はGWに合わせる形で海外よりやや遅い4月28日に設定されているが、マリオ生誕の地である日本でも果たして大ヒットを記録するのかどうかは、やはり今後最も注目すべきポイントの1つだ。

© 2022 Nintendo and Universal Studios

これはあくまでも個人的な意見ではあるが、このヒットの波はおそらく日本にも伝播するのではないかと思う。

理由としてはまず1つ今作の制作であるイルミネーションの手がける『ミニオンズ』『シング』シリーズは日本でも知名度があり、優秀な興行成績をあげていることが挙げられる。

そして、もう1つの理由は海外の観客分布を見てわかるようにかなり幅広い層からの支持を受けていることだ。やはり『スーパーマリオ』シリーズは37年以上の歴史があり現代の子供層はもちろん、40〜50代の世代までゲーム文化として幅広く生活の中に浸透してきた。今作は満足度も高く不安材料も少ないことからGWから夏休みシーズンにかけて幅広い世代に波及していくのではないかと個人的には予想している。

日本でも歴史的大ヒットを報じるニュースを聞くことは果たしてできるのか、その公開が待ちきれない。

コメント

  1. […] […]

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