最新作は200億円の赤字!?天下のディズニーが立たされてしまった”岐路”

好調に会員数を伸ばすディズニープラス

2019年にスタートが始まって以降、飛ぶ鳥を落とす勢いで会員数を増やしているディズニープラス。ディズニーの傘下であるHuluやESPN+の会員数も含めれば、その数はなんと2億3570万人に上るとのことで、Netflixをも上回る数となっている。
実際、米ウォルトディズニースタジオの売上高を見ると、2022年7〜9月期の発表では200億ドルに達しており、コロナ禍シーズンが始まる前の2019年10〜12月期の208億ドルとあまり大きな差はない。つまり映画館における興行にそれほど注力せずとも、配信サービスとディズニーリゾートの営業である程度安定した売上高を出すことができている、というのが現状だ。

実際、ディズニープラスは今年も多くのオリジナル作品の制作に注力してきた。まずはマーベル作品が「ムーンナイト」「ミズ・マーベル」「シーハルク」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル」の4本。スターウォーズ作品が「オビワン=ケノービ」「アンドー」の2本。ディズニー映画作品は、実写版「ピノキオ」「魔法にかけられて2」「チップとデールのレスキュー大作戦 レスキュー・レンジャーズ」「ホーカスポーカス2」など、映画とほぼ同じクオリティの作品がかなりのタイトル数制作されている。

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1エピソードごとに2500万ドルの制作費がかかるとも言われるMCUドラマシリーズ。

その一方で、2022年劇場公開されたディズニー配給作品は20世紀スタジオを含めてもわずか10本。コロナ禍前と比べると2分の1の水準となっている。これは、配信サービス中心の経営方針にシフトしていると推測されても仕方のないことかもしれない。



ストリーミングサービスに見えてしまった限界

しかし、だからと言って安心できるかと言われればそういう状況でもない。と言うのも、コロナウイルスの制限も徐々に緩和され、ストリーミングサービスにも徐々に岐路が訪れているからだ。それを感じさせたのは8月にNetflixの会員数がここ10年で初めて減少に転じたというニュース。このニュースを受けて、一部のアナリストは配信業界の今後を懐疑的に見る人も多く、米ディズニーの株価は減少傾向を辿っている

実際、2022年7〜9月期の配信事業部門は15億ドルの赤字となっており、これはオリジナル作品の制作費や広告費によるものと説明されている。パーク事業が好調なため辛うじて企業全体としては黒字となっているが、この15億ドルという数字は前年から2倍以上のもので、あまり看過できるものではない。

企業側は「営業赤字は今後縮小し、2024年は黒字化が見込まれる」と説明しているが、近日に予定されている広告付きプランの導入や値上げなどの戦略は企業側もあまり使いたくない“奥の手”であることは確か。初期投資とは言え、これまで合計で80億ドルの赤字を計上しているディズニープラス。

先日はCEOがボブ・チャペック氏から再びボブ・アイガー氏に変わるなど、組織再編を狙っていることから米ディズニー自身、経営に焦りが見えているのも事実だ。今改革を求められるディズニーはもしかしたら、再び映画業界に力を入れファンを映画館に戻すような取り組みを行うかもしれない。映画館で観るからこその楽しみを求める自分としては是非とも期待したい取り組みではあるが…。



今後の作品で再起となるか…?

配信サービス中心の経営方針にするかはまだわからないが、劇場公開のヒット作品が多く生まれるに越したことはないだろう。多くの作品がヒットすれば劇場公開のラインナップも充実し、ディズニーは再びマーベル作品でも業界の盛り上がりを見せてくれるかもしれない。ただし、かけられている広告費が少ない現状、元から知名度のある「続編」のヒットを期待するのが1番現実味があるのではないだろうか。

例をあげれば、12月16日公開「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」はその筆頭だろう。2009年に公開された前作は次々に映画史の記録を塗り替え全世界No.1興収を記録した。一度は「アベンジャーズ エンドゲーム」にその座を譲ったが、再上映で再び首位に返り咲き、現在も首位に君臨し続けている。一部の専門家からは歴代トップクラスの売上になるとの声もあり、ここで特大ヒットが生まれればディズニーに取ってもよい追い風となるだろう。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、上映時間は3時間超 | Vogue Japan
全世界3000億円の売上も予測される「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」。

また来年には「インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol.3」「アントマン クアントマニア」などの人気作品の続編も公開予定だ。
そして「リトル・マーメイド」「ホーンテッド・マンション」など誰もがよく知る題材の実写化作品も控えている。ピクサー新作「エレメンタル」もキャラクターが魅力的で、キャラを全面に押し出したPRに期待したい。

果たしてこの中から映画界における大ヒット作品が現れるか、否か。そして、配信事業は黒字化となるのか、否か。これらの結果が今後のディズニーの行く先を大きく左右することになるだろう。来年はまさしく1つ“岐路”の年となりそうだ。

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