【2022年大コケ映画ランキングTOP5】250億円超の赤字作品とは一体…⁉︎

3位『バズ・ライトイヤー』

©2021 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

損益額:1億600万ドル(約142億円)

制作費…2億ドル
宣伝費…1億1000万ドル
興行成績…2億2640万ドル

『トイ・ストーリー』シリーズの人気キャラクター「バズ・ライトイヤー」のルーツを描いた作品。

ピクサーとしてはコロナ禍後初めて劇場で上映された作品となります。全米の観客評価を示すCinema Scoreは「A-」とまずまずの結果で、米批評サイトRotten tomatoesでも観客支持率86%と決して低い数字はありません。

では、なぜここまでの赤字を出す結果になってしまったのでしょうか。

まずひとつ多くの感想として見られるのが「期待していたものと違った」という意見。やはり、主人公がバズ・ライトイヤーなので「トイ・ストーリー」関連の要素を求めるファンも多かったと思います。もちろんSFアニメ映画としては良作となっていますが、良くも悪くもただのSFアニメ映画に止まっており、「トイ・ストーリー」ファンへの訴求力が足りなかったと考えられます。

また他に大きな原因と考えられるのはやはりディズニープラスの存在でしょう。ディズニープラスは会員増加のため、『ソウルフル・ワールド』『あの夏のルカ』『私ときどきレッサーパンダ』と3作品連続でピクサー作品をディズニープラスの見放題作品として配信しました。これはピクサー内部からも怒りの声が多く上がり、ファンからも懐疑的な目が向けられました。

さらに、当時は劇場公開作品も公開からわずか45日後にディズニープラスで配信が開始されるシステムだったため、劇場で見る必要性も損なわれてしまったと考えられます。

そして、その原因であるディズニープラス自体も現在会員数が減少の一途を辿っており、まさに「二兎追うものは一兎も得ず」という状況に。

2位『アムステルダム』

©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

損益額:1億840万ドル(約145億円)

制作費…8000万ドル
宣伝費…7000万ドル
興行成績…3110万ドル

こちらも同じくディズニーが配給を行った20世紀スタジオの作品。

1930年を舞台にアムステルダムで出会った医師、看護師、弁護士が殺人事件の容疑者となり、その濡れ衣を晴らすべく真相に迫るも、巨大な陰謀を知ることになる…。というストーリーです。

監督はアカデミー賞10部門ノミネートに輝いた『アメリカン・ハッスル』のデヴィット・O・ラッセルで、キャストも主演のクリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デビッド・ワシントンのほか、ロバート・デ・ニーロ、テイラー・スウィフト、アニャ・テイラー=ジョイ、ゾーイ・サルダナ、ラミ・マレックなど主演級のキャストがズラリ。

また、コロナ禍で撮影場所がボストンからロサンゼルスに変更になるなどのトラブルもあり、予算は5000万ドルから8000万ドルに跳ね上がりました。

アカデミー賞有力な監督と豪華キャストということで、最終全米成績は1億ドル到達も予測されていましたが、いざ蓋を開けてみると全米OP興収644万ドルとまさかの数字に。

Rotten tomatoesの観客支持率は62%、Cinema Scoreも「B」と評価も中途半端な結果となりました。同週公開の『シング・フォー・ミー ライル』や前週公開され予想外のヒットの続いたホラー作品『スマイル』が好調だったこともあり、その影に隠れる形で、最終成績は予想を大きく下回りました。



1位『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』

©2022 Disney. All Rights Reserved.

損益額:1億9740万ドル(約264億円)

制作費…1億8000万ドル
宣伝費…9000万ドル
興行成績…7350万ドル

残念ながら2位と大きく差をつけて1位となってしまったのはまたしてもディズニー配給の『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』

この損益額はハリウッドの長い歴史の中でも、大コケ作品として度々話題となる『ジョン・カーター』や『ローン・レンジャー』などに並ぶ史上最悪レベルの赤字となります。(『ジョン・カーター』『ローン・レンジャー』の損益は約2億ドルと言われている)

理由としては先ほど『バズ・ライトイヤー』でも触れたディズニープラスの戦略ミスが挙げられることはもちろんですが、それだけで説明のつく損益ではないように感じます。

近年のウォルト・ディズニー・スタジオ作品は『ラーヤと龍の王国』や『ミラベルと魔法だらけの家』などハイクオリティかつ絶賛に染まる作品が多かった印象です。そんな中、今作はCinema Score「B」と微妙な評価。これはCinema Scoreの統計開始以降、歴代のディズニーアニメーション作品の中で最悪の評価となっています。(「A」「A-」以外の評価を獲得するのはディズニーアニメーション作品として初めて)

また、ディズニーアニメ初のLGBT主人公ということで一部の層(主に保守派)から批判の声もあり、日本でもポリコレに関する多くの意見が上がりました。

実写版「リトル・マーメイド」もキャストの人種問題が現在進行形で激しく議論が交わされていますが、ディズニーにとっても今年は作品制作の方針を大きく見直すべき時期と言えそうです。



ディズニー作品がトップを独占する結果に…今後はどうなる?

史上最悪レベルの赤字を記録をする作品が生まれたということだけでも、かなりインパクトの残る年となった2022年。ただそれだけでなく、赤字作品の上位3作品が全てディズニー配給であるという点についても目をつぶることはできないでしょう。

『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』が歴史的ヒットとなったことで、なんとか事なきを得る形となりましたが、これら作品の赤字額はその特大ヒットすらも帳消しにする勢いとなっています。

そして、この苦しい事態を鑑みてか、2年前に退任したばかりのボブ・アイガーがディズニーのCEOに電撃復帰するなど、今年に入り新たな動きもあります。

ボブ・アイガー復帰後早々ディズニーは『トイ・ストーリー5』『アナと雪の女王3』『ズートピア2』など人気アニメの続編作品の制作を発表し、大きく方針変更を取る姿勢を見せていますが、果たしてここから立ち直すことはできるのか、今年の動向にも注目です。

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