みなさんこんにちは!タロイモです!
コロナウイルスもだんだんと収束し、映画館も全国的についにレイトショーが解禁となりました。
さらに今年は「鬼滅の刃」「シンエヴァ」「竜そば」などアニメ作品も次々に大ヒット作品が生まれています。

特に「鬼滅の刃」は歴史を塗り替える大ヒットを記録しました!
このようなニュースを見て映画業界の活気もコロナ禍以前に戻って来たな…と感じている人も多いと思います。
確かにコロナ禍以前に匹敵するヒット作品も多く生まれています。しかし、コロナ禍以前とは大きく違う点が1つあるんです。
それは、大ヒット作とそれ以外の作品の乖離が大きいという点です。
基本だいたいの映画は10億円がヒットのラインと言われていますが、ここで2019年と今年2021年の10月まで時点の10億円突破作品の本数を比べてみましょう。
2019年は52本。今年2021年はわずか22本。
見てわかる通り2019年と比べると今年の10億円突破作品はその半分以下になってしまっています。
そんな事情もあり、2年前に比べると多くの作品がヒットする機会を掴みづらい状況…というのが現状です。
私は年に40回ほど映画館に通うのですが、そんな中個人的には「なんでこんなに面白いのに売れないんだ!!」という映画も多くありました。今回はその想いを「2021年見なきゃ損する映画」と題してこの記事で綴っていこうかなと思います。

作品への愛が爆発します!
オススメしたい映画はたくさんあるのですが、今回はアニメ映画に絞って2作品ご紹介します。もちろんネタバレはなしです!
アイの歌声を聴かせて
[su_animate type=”fadeIn” duration=”2″]ポンコツAIが日常を変える!ちょい近未来を舞台に描かれる青春群像劇に、ミュージカルが運命的融合![/su_animate]

配給:松竹
上映時間:108分
原作・監督・脚本:吉浦康裕
共同脚本:大河内一楼
声の出演:シオン…土屋太鳳
サトミ…福原遥
トウマ…工藤阿須加
アヤ…小松未可子
ゴッちゃん…興津和幸
サンダー…日野聡
上映終了間近!劇場へ急げ!
実を言うと、評判を聞くまでノーマークだった作品です。予告編は主題歌を全面に押し出していて、こんな感じの予告最近よく見るな〜くらいの印象でした。
しかし!!いい意味で完全に裏切られました。まさに目から鱗です。
AIを絡めた最近ありがちな作品と思いきや、この作品は全く新しいミュージカル要素を上手く取り入れた近未来SF青春群像劇だったのです!
弾丸ストレートかと思いきや変化球となり次々と華麗に行われる伏線回収、そして土屋太鳳さんのパワー溢れる楽曲と織りなす爽やかな青春物語!
情報量多すぎだろ!と思う方も多いかもしれませんが、これがなんとものの見事にパズルのピースのように1つも欠けることなく完璧に組み合わさっており、今年必見の完璧なハートフル作品に仕上がっています!
個人的にはミュージカルシーンの臨場感をより味わえる劇場での鑑賞を強くオススメしたいのですが、公開から3週間ほどが経過し上映終了が間近と言う劇場も…。
【追記】
現在も一部劇場にて上映が行われています。
詳しくはコチラをチェック。
②手の届きそうな近未来描写がイイ…!
③愛らしいキャラクター個性豊かなキャラクターたち
④土屋太鳳の歌声が光る最高の楽曲
〜あらすじ〜
景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン(cv土屋太鳳)は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!
シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミ(cv福原遥)の前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。
彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。
しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。
ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!
新たな融合!ミュージカル×SF×青春
前述の通り、まず今作の画期的な点はミュージカル映画ではなく、リアルな青春群像劇にミュージカル要素を綺麗に落とし込んでいるという点。脚本の大河内さんも「脚本として考えたのは、ミュージカル映画にはしたくないということだった」と語っています。

初っ端サトミのクラスに転校してきた「ちょっぴりポンコツなAI」のシオンは「サトミ、今幸せ?」と投げかけ突然歌い出します。ミュージカル映画であれば登場人物のほとんどが自分の感情全てを歌に乗せて表現しますが、この映画で歌を歌うのはあくまでAIのシオンのみ。突然歌い出すのが人であれば、「リアリティがない」と感じがちになりますが、ポンコツなAIという設定も相まって、一種の不具合であると捉えれば突然歌い出すのも全く無理はない設定に。
実際序盤のシーンでは、シオンをAIと気づいていない生徒は突然歌いだす彼女に対してドン引きする描写が。このように細かい描写で作品に対する違和感を無くすことで、作品への世界観に入り込みやすい工夫がなされています。

ミュージカル映画は敷居が高いな…と思っている人も自然にミュージカルを楽しめる巧みな作りです!
ミュージカル要素はあれど、ミュージカル映画にあらず。ミュージカルを取り入れながらあくまでも等身大な青春群像劇になっている点がこの作品の画期的なところです。

さらにこの作品は2時間弱の尺でサトミとその友達を始めとした高校生5人それぞれにフォーカスし、そしてAIシオンも含めた友情と成長を描き切っています。物語もオムニバス形式のような形でストーリーが進むため、これを冗長にせず違和感なく繋げるのはかなり難しい技術が問われます。
しかし、そこにミュージカル要素を加えることで物語にメリハリを与え、印象深いシーンを生み出すことが可能に。ただし、そこにはどのようにしてそのミュージカル要素を加えるのか、という大きな壁が再び立ちはだかります。

ミュージカル映画ではないからこそ絶妙なタイミング選びが求められます…!
しかし、どのミュージカルシーンを切り取っても無理やり感や違和感が全くないんです…!
これこそ細かい描写や演出、そして神がかった脚本の賜物と言えるのではないでしょうか。
しかし、どうしてそこまでしてミュージカル要素を加えるのか。と疑問に思う方もいるかもしれません。実はその答え、作品の中にあるんです…!

シオン「“秘密”はね、最後に明かされるんだよ」
手の届きそうな近未来感がイイ…!
AIの高校生シオンが登場するに当たり、今作の舞台は現代よりちょっと進んだ未来となっています。景部市はAIシオンの開発元でもある星間エレクトロニクスと提携しているスマートシティ。AIがカーテンを開けてくれたり、バスを運転してくれたり、田植えをしていたり…(?)色々してくれているのですが、まだ人々の生活を全て手助けするレベルまでは干渉していない絶妙なラインがSFながらも逆にリアリティさを出している点が凄く良いです。
監督も人型ロボットが田植えだけでなく、家事や用務員の仕事をすることも可能な点に触れながら、現代の「ロボットに対する恐怖」を考慮してまだそこまで進出できていない描写になっていると語っていました。
本作ではそういった描写はありません。要するにユーザーから拒絶されているんです。現実的に考えて、一般ユーザーはこの人型ロボットに、多少の恐怖感を抱いてしまうのが普通だと思います(身長約160cmのこのロボットが、家の中を歩いている所を想像してみてください)。だから…
— 吉浦康裕 (@yoshiura_rikka) November 3, 2021
他にもAIのシオンが学校中のAIをハッキングするなど、さりげなく視聴者に対しても少し恐怖を感じられるような描写があります。AIの是非が問われる映画ならではのポイントもしっかり押さえられている点は流石です。
ミュージカル要素だけでなくSF要素に関しても鑑賞者がよりリアリティを感じられるように細かいところまで工夫を施しているのがこの作品が傑作である所以かもしれません…!
愛らしいキャラクター個性豊かなキャラクターたち
今作は高校生5人とAIシオンを中心に物語が展開するのですが、どのキャラクターにもフォーカスしたエピソードがあるためそれぞれ深みがあるというのもこの作品の大きな特徴。やはりみんな学生らしい悩みサトミを抱えているのですが、AIシオンとの出会いをきっかけに少しずつ変化を見せていきます。
脚本の妙や声優さんの演技も相まってみんな推せるいいキャラばかりです!
サトミ(CV:福原遥)

今作の主人公。星間エレクトロニクスに勤める母のために家事もこなすしっかり者の女子高校生。
真面目っぽい性格でありながら、プリンセスに憧れる一面もありギャップ萌え…?
あることをきっかけに独りぼっちな生活を送っていますが…。
トウマ(CV:工藤阿須加)

サトミの幼馴染で、密かに彼女への好意を抱いている不器用男子。
プログラミングの天才でAIの修理やカメラのハッキングもお手の物。
なんと小学生の頃から人工知能を生み出す狂人っぷり。
ゴッちゃん(CV:興津和幸)

勉強も運動もトップレベルのイケメン。
しかし何もかも80点(自称)な自分に自信を持てないでいる。
(謙虚か!)
アヤ(CV:小松未可子)

プライドの高いサトミのクラスメイト。
ゴッちゃんと付き合っているが、近ごろ上手くいっておらず色々空回りしてしまう。
序盤はいわゆるウザめのキャラですが、鑑賞後には推しになっているかも…!?
サンダー(CV:日野聡)

毎日AIロボの三太夫と練習に励む柔道部男子。
実力はあるが試合になるといつも勝てない悩みを抱えている。
シオンをAIと知りながらも告白しちゃうレベルで自分の心に嘘のつけない真っすぐな好青年。
土屋太鳳の歌声が光る最高の楽曲
今作の最大の肝となるミュージカル要素。作品のアイデンティティとしても、やはり「竜とそばかすの姫」の「U」ようなインパクトある楽曲が求められます。しかし、今作の「アイの歌声を聴かせて」も何度も聴きたくなるキャッチーな曲となっており、物語との不可分性という観点では「竜そば」の出来なかったことを実現しているようにも感じました。
作曲は「黒子のバスケ」や「SK∞」などを手がけた高橋諒。作詞は「アイドルマスター」シリーズや「文豪ストレイドッグス」などを手がけてきた松井洋平。
まず、予告編でも使われている一つ目の楽曲「ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る」。こちらは吉浦康裕監督が「ストレートに“めっちゃいい王道ポップスミュージカル”にしてください。」と高橋さんに強く要望。土屋太鳳さんの美しくもパワフルな歌声に上手くマッチしており、同時にAIシオンのとにかく明るい性格を表す楽曲となっています。劇場に出た後は思わず口ずさみたくなるようなキャッチーな曲です!

そして何よりも今作の楽曲の強みは4曲目「Youʼve Got Friends ~あなたには友達がいる~」がアンサーソングとなっているところ。ネタバレになってしまうので詳しい内容は避けますが、1曲目のサブタイトルの「友達が要る」と4曲目の「友達がいる」は対になっており、曲の歌詞や場面、歌い方も注目して欲しいポイントとなっています。
鑑賞方法
10月29日に公開されたばかりの作品で、現在全国の劇場で公開中です。
個人的にはミュージカル要素を深く味わうためにも出来るだけ音響の良い劇場での鑑賞をオススメしますが、早くも上映回数が1、2回となっている劇場も。
なるべく早くの鑑賞をオススメします!
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